◎伊藤博文、ベルリンの酒場で、塙次郎暗殺を懺悔以前、大場義之さんという未知の研究者から、『大津事件の謎に迫る』(文藝春秋企画出版部、二〇〇六)という本を送っていただいた。オリジナルな考証が光る労作だと思ったが、その時は、大津事件の全体像に、変更を迫るほどの問題提起はないという印象を持った。昨日、久しぶりにこの本を読んでみたが、これはなかなかの問題作かもしれない、と思いなおした。しかし、本日は、そのことについて解説している余裕がない。本日は、同書の、二四六~二四七ページから、憲法調査中の伊藤博文が、ベルリンの地で、塙次郎暗殺を懺悔したことに触れているところを紹介したい。平成一五年(二〇〇三)三月、瀧井一博氏による『文明史のなかの明治憲法』〔講談社、二〇〇三〕という好著が出版された。同書に「美しき魂の告白」な...伊藤博文、ベルリンの酒場で、塙次郎暗殺を懺悔